SCORMに関する専門用語を50語以上収録した用語集です。eラーニング教材の制作・運用に携わる方が、規格の全体像をつかみやすいようカテゴリ別に整理し、初心者にもわかりやすく解説しています。


1. SCORM基本用語

SCORM(Sharable Content Object Reference Model)

ADLが策定したeラーニングコンテンツの国際標準規格です。教材とLMS(学習管理システム)の間のデータ通信方法やパッケージング形式を定めており、異なるLMS間でも教材を共有・再利用できるようにすることを目的としています。

SCO(Sharable Content Object)

SCORMにおける学習コンテンツの最小単位です。LMSと通信する機能を持ち、学習の進捗状況や成績などのデータをやり取りできます。1つのSCORMパッケージには1つ以上のSCOを含めることができます。

Asset(アセット)

画像・音声・テキストなど、単体では学習追跡機能を持たないメディアファイルの総称です。SCOの中に組み込んで使用されますが、Asset単体ではLMSとの通信は行いません。

Content Aggregation(コンテンツアグリゲーション)

複数のSCOやAssetを構造的にまとめる仕組みです。教材の階層構造(章・節・ページなど)を定義し、学習者に提示する順序や関係性を管理します。

Content Package(コンテンツパッケージ)

SCORMコンテンツを配布するためのZIPファイル形式のまとまりです。教材本体のファイル群とマニフェストファイル(imsmanifest.xml)を一つのZIPに圧縮したもので、LMSにアップロードして使用します。

マニフェストファイル(Manifest File)

コンテンツパッケージの構成情報を記述したXMLファイルです。教材に含まれるSCOやAssetの一覧、学習の順序構造、メタデータなどが定義されています。ファイル名はimsmanifest.xmlで固定されています。

imsmanifest.xml

SCORMコンテンツパッケージのルートに必ず配置されるXMLファイルです。マニフェストファイルの正式なファイル名であり、コンテンツの構造・メタデータ・リソース情報などを記述します。LMSはこのファイルを読み取って教材を登録・管理します。

CAM(Content Aggregation Model)

SCORMの3つの主要仕様の一つで、コンテンツのパッケージング方法と構造化のルールを定めたモデルです。マニフェストファイルの書式、メタデータの記述方法、コンテンツの組織化方法などを規定しています。

シーケンシング(Sequencing)

学習コンテンツの提示順序を制御する仕組みです。SCORM 2004で導入され、前提条件の設定や分岐ルールなどにより、学習者の進捗状況に応じて次に表示するSCOを動的に決定できます。

ナビゲーション(Navigation)

学習者がコンテンツ内を移動するための仕組みです。SCORM 2004ではシーケンシングと連動し、「次へ」「前へ」「目次から選択」といった操作がLMSによって制御されます。

Activity Tree(アクティビティツリー)

SCORM 2004でコンテンツの階層構造を表現するツリー構造です。各ノードが学習活動(Activity)を表し、シーケンシングルールに基づいて学習者がどのActivityにアクセスできるかを管理します。

Organization(オーガニゼーション)

マニフェストファイル内で定義されるコンテンツの論理的な構造です。同じ教材素材を異なるOrganizationで整理することで、学習対象者や目的に合わせた複数のコース構成を提供できます。

メタデータ(Metadata)

コンテンツの属性情報(タイトル、作成者、言語、学習時間など)を記述したデータです。LMSでの検索性やコンテンツの再利用性を高める役割を持ち、マニフェストファイル内またはメタデータファイルとして記述されます。

PIF(Package Interchange File)

コンテンツパッケージの配布用ZIPファイルの正式名称です。Content Packageと実質的に同義ですが、仕様書ではPIFという名称で呼ばれることがあります。

サブマニフェスト(Sub-Manifest)

マニフェストファイル内に入れ子で定義される下位のマニフェストです。大規模な教材を複数の部品に分けて管理する際に使用され、再利用性を高める構造として用意されています。


2. SCORM通信・API関連用語

SCORM API

SCOとLMSの間でデータをやり取りするためのJavaScriptインターフェースです。学習の開始・終了の通知、成績データの送受信などを行います。SCORM 1.2とSCORM 2004でメソッド名が異なります。

LMSInitialize() / Initialize()

学習セッションの開始をLMSに通知するAPIメソッドです。SCOが起動された直後に呼び出す必要があります。SCORM 1.2ではLMSInitialize()、SCORM 2004ではInitialize()という名称です。

LMSFinish() / Terminate()

学習セッションの終了をLMSに通知するAPIメソッドです。SCOを閉じる前に必ず呼び出す必要があります。SCORM 1.2ではLMSFinish()、SCORM 2004ではTerminate()という名称です。

LMSGetValue() / GetValue()

LMSからデータモデル要素の値を取得するAPIメソッドです。たとえば学習者の名前や前回の学習状態などを読み取る際に使用します。SCORM 1.2ではLMSGetValue()、SCORM 2004ではGetValue()です。

LMSSetValue() / SetValue()

LMSにデータモデル要素の値を送信するAPIメソッドです。成績スコアや学習ステータスなどを記録する際に使用します。SCORM 1.2ではLMSSetValue()、SCORM 2004ではSetValue()です。

LMSCommit() / Commit()

SetValueで設定した値をLMSに確実に保存させるAPIメソッドです。明示的にCommitを呼ぶことで、データの永続化をLMSに要求します。SCORM 1.2ではLMSCommit()、SCORM 2004ではCommit()です。

LMSGetLastError() / GetLastError()

直前のAPI呼び出しで発生したエラーコードを取得するメソッドです。API呼び出しが失敗した場合の原因調査に使用します。

LMSGetErrorString() / GetErrorString()

エラーコードに対応する人間が読めるエラーメッセージ文字列を取得するメソッドです。GetLastError()で得たコードの内容を確認する際に使います。

LMSGetDiagnostic() / GetDiagnostic()

エラーに関する詳細な診断情報を取得するメソッドです。LMSベンダー固有の追加情報が返される場合があり、デバッグ時に役立ちます。

API Adapter(APIアダプタ)

LMSがブラウザ上に公開するJavaScriptオブジェクトです。SCOはこのオブジェクトを検出してAPI呼び出しを行います。SCORM 1.2では「API」、SCORM 2004では「API_1484_11」という名前でブラウザが教材に提供するJavaScriptのオブジェクトで、教材がLMSの機能を呼び出す窓口です。

APIWrapper(APIラッパー)

ADLが提供するSCORM API呼び出しのためのJavaScriptユーティリティライブラリです。API Adapterの検索やエラーハンドリングを簡略化し、教材開発者がSCORM通信を容易に実装できるよう支援します。


3. SCORMデータモデル関連用語

データモデル(Data Model)

SCOとLMS間でやり取りされるデータ項目の体系です。学習状態、成績、経過時間など、多数の要素が定義されています。SCORM 1.2とSCORM 2004で要素名や構造が異なります。

cmi.core

SCORM 1.2のデータモデルにおける中核的な要素群のプレフィックスです。cmi.core.lesson_status、cmi.core.scoreなど、学習の基本的な情報がこのグループに含まれます。SCORM 2004ではcmi直下に再編されました。

lesson_status(cmi.core.lesson_status)

SCORM 1.2で学習の状態を表すデータモデル要素です。「completed」「incomplete」「passed」「failed」「browsed」「not attempted」のいずれかの値を取り、学習の完了状態と合否を一つの項目で管理します。

completion_status(cmi.completion_status)

SCORM 2004で学習コンテンツの完了状態を表すデータモデル要素です。「completed」「incomplete」「not attempted」「unknown」のいずれかの値を取ります。SCORM 1.2のlesson_statusから完了状態のみを分離した要素です。

success_status(cmi.success_status)

SCORM 2004で学習の合否判定を表すデータモデル要素です。「passed」「failed」「unknown」のいずれかの値を取ります。SCORM 1.2のlesson_statusから合否判定のみを分離した要素です。

score(cmi.core.score / cmi.score)

学習者の得点を記録するデータモデル要素です。raw(素点)、min(最低点)、max(最高点)のサブ要素があります。SCORM 2004ではscaled(0〜1の間に換算したスコア)が追加されました。

session_time(cmi.core.session_time / cmi.session_time)

現在の学習セッションで費やした時間を記録するデータモデル要素です。SCOがTerminate / Finishを呼び出す前にSetValueで設定します。LMSはこの値を累計して総学習時間を計算します。

total_time(cmi.core.total_time / cmi.total_time)

過去のすべてのセッションの累計学習時間を示すデータモデル要素です。LMSがsession_timeを加算して自動的に管理するため、SCOからは読み取り専用となります。

suspend_data(cmi.suspend_data)

学習の中断時にSCOが自由なデータを保存できるデータモデル要素です。次回学習再開時にこのデータを読み取ることで、前回の続きから学習を再開できます。SCORM 1.2では最大4096文字、SCORM 2004では最大64000文字まで格納できます。

lesson_location / location(cmi.core.lesson_location / cmi.location)

学習者がコンテンツ内のどこまで進んだかを示すブックマーク的な要素です。SCOが任意の文字列(ページ番号など)を保存し、次回起動時に読み取って該当位置に復帰させるために使用します。

interactions(cmi.interactions)

学習者のテストやクイズへの回答内容を詳細に記録するためのデータモデル要素です。設問ごとに問題の種類、学習者の回答、正答、結果などを配列形式で保存できます。

entry(cmi.core.entry / cmi.entry)

学習者がSCOに入る際の状態を示すデータモデル要素です。初回アクセス時は「ab-initio(最初から、の意)」、中断からの再開時は「resume」が設定されます。SCOはこの値を参照し、新規開始か再開かを判断します。

exit(cmi.core.exit / cmi.exit)

SCOの終了時にその終了方法を示すデータモデル要素です。「suspend」を設定するとsuspend_dataが保持され、次回resume状態で再開できます。「」(空文字)の場合はデータがクリアされることがあります。


4. LMS・プラットフォーム関連用語

LMS(Learning Management System)

eラーニングの学習管理システムです。学習コンテンツの配信、学習者の登録・管理、進捗状況の追跡、成績の記録・レポートなどを一元的に行うプラットフォームです。SCORM対応LMSであればSCORMコンテンツを登録して運用できます。

LCMS(Learning Content Management System)

学習コンテンツの作成・管理・配信を統合的に行うシステムです。LMSの学習管理機能に加え、コンテンツのオーサリング機能やバージョン管理機能を備えています。

LRS(Learning Record Store)

xAPI(Experience API)で収集された学習活動の記録(ステートメント)を保存・管理するデータストアです。LMSとは独立して動作でき、より柔軟な学習データの蓄積と分析を可能にします。

LTI(Learning Tools Interoperability)

IMS Globalが策定した、LMSと外部の学習ツールやコンテンツを連携するための標準規格です。SCORMとは異なるアプローチで、ツール間のシングルサインオンやデータ連携を実現します。

RTE(Run-Time Environment)

SCORMの3つの主要仕様の一つで、教材の実行環境を定義したものです。SCOの起動方法、API通信の手順、データモデルの仕様などが規定されており、SCOとLMSが正しく通信するためのルールを定めています。

SN(Sequencing and Navigation)

SCORM 2004の3つの主要仕様の一つで、学習コンテンツの提示順序と学習者のナビゲーション操作を制御する仕組みを定義しています。条件分岐やロールアップルールなど高度な制御が可能です。

SCORM適合性テスト(SCORM Conformance Test)

LMSやSCOがSCORM仕様に準拠しているかを検証するためのテストスイートです。ADLが提供しており、教材やLMSの互換性を確認する際に使用されます。

ロールアップ(Rollup)

SCORM 2004のシーケンシングにおいて、子Activityの状態を親Activityに集約する処理です。たとえば、すべての子SCOが完了したら親のActivityも完了とみなす、といったルールを定義できます。


5. eラーニング規格関連用語

ADL(Advanced Distributed Learning)

アメリカ国防総省が設立した組織で、SCORMの策定・推進を主導しました。eラーニングの標準化と相互運用性の向上を目的とし、SCORM以降はxAPIの開発も支援しています。

AICC(Aviation Industry Computer-Based Training Committee)

航空業界のコンピュータベーストレーニング委員会が策定した、SCORMより前に普及したeラーニング規格です。HTTPベースの通信方式(HACP)が特徴で、現在は団体として活動を終了していますが、一部のLMSでは今もAICCプロトコルがサポートされています。

xAPI(Experience API / Tin Can API)

ADLが主導して策定した、SCORMの後継にあたる学習データ規格です。「主語+動詞+目的語」形式のステートメントで多様な学習活動を記録でき、ブラウザ外やオフラインの学習も追跡可能です。

cmi5

xAPIをベースに、LMSからの教材起動や完了・合否判定のルールを標準化した規格です。xAPIの柔軟性を活かしつつ、SCORMのように教材とLMS間の明確な役割分担を定義しています。SCORMとxAPIの橋渡し的な位置づけです。

IMS Global Learning Consortium

eラーニング技術の国際標準化を推進する団体です(現在は1EdTechに改称)。LTI、QTI、Common Cartridgeなど、多数のeラーニング関連規格を策定しています。

QTI(Question and Test Interoperability)

IMS Globalが策定したテスト・問題の相互運用規格です。選択問題や記述問題などの形式とスコアリングルールを標準化し、異なるシステム間で問題データを共有可能にします。

HACP(HTTP AICC Communication Protocol)

AICCが定義したHTTPベースの通信プロトコルです。学習コンテンツとLMSがHTTPリクエストでデータを送受信する方式で、SCORMのJavaScript API方式とは異なるアプローチを取ります。


6. 教材制作関連用語

オーサリングツール(Authoring Tool)

eラーニング教材を作成するためのソフトウェアです。プログラミングの知識がなくても、スライドやクイズなどの学習コンテンツを作成し、SCORMパッケージとして書き出すことができます。代表的なものにArticulate Storyline、Adobe Captivateなどがあります。

SCORMパッケージ(SCORM Package)

SCORM仕様に準拠した教材の配布ファイルです。HTML/CSS/JavaScriptなどのコンテンツファイルとimsmanifest.xmlをZIP形式でまとめたもので、SCORM対応LMSにアップロードして利用します。

SCORM Cloud

Rustici Softwareが提供するクラウド型のSCORM対応プラットフォームです。SCORMコンテンツの動作検証やLMSを持たない環境での教材配信に利用されます。業界標準のテスト環境としても広く使われています。

レスポンシブSCORM(Responsive SCORM)

PC、タブレット、スマートフォンなど、画面サイズの異なるデバイスに対応したSCORMコンテンツのことです。HTML5とレスポンシブデザインの技術を用いて、デバイスに応じた最適な表示を実現します。

マルチSCO構成(Multi-SCO Structure)

1つのコンテンツパッケージ内に複数のSCOを含む教材構成です。章や単元ごとにSCOを分けることで、各単元の進捗を個別に追跡したり、シーケンシングで学習順序を制御したりできます。

シングルSCO構成(Single-SCO Structure)

1つのコンテンツパッケージに1つのSCOのみを含む教材構成です。教材内のナビゲーションをすべてSCO側で制御するため、LMSの種類による動作差異が少なく、互換性が高いのが特徴です。

SCORMのことなら、何でもご相談ください

SCORM変換・教材制作・技術トラブルの解決まで、ワンストップで対応します。ご相談・お見積もりは無料です。

無料で相談する

株式会社エレファンキューブ

eラーニング教材制作の専門会社。2008年の創業以来、3,000件超の制作実績を持ち、SCORM 1.2 / SCORM 2004 / xAPI / cmi5など各種規格に精通。企画からLMS搭載まで、ワンストップで対応しています。

コーポレートサイト